皆さんは歯医者さんにどのタイミングで行かれますか?痛みが出たときだけ、という方も多いのではないでしょうか。実は、そのような「対症療法」だけでは、健康な歯を長く保つことは難しいのです。

予防歯科の必要性

35歳以上の日本人の約5〜7割が何らかの歯周病を有しています。※1

歯周病は初期には自覚症状がほとんどなく、気づいたときには進行していることが少なくありません。また、むし歯も初期段階では痛みを感じにくいため、痛みを感じたときには既に治療が必要な状態になっていることがほとんどです。

予防歯科の考え方は「病気になってから治す」のではなく、「病気にならないように予防する」というものです。定期的なメンテナンスにより、むし歯や歯周病のリスクを大幅に減らし、将来的な大きな治療や歯の喪失を防ぐことができます。

歯科メンテナンスの内容(保険適用外)

歯科メンテナンスでは主に以下のようなケアを行います:

  1. プロフェッショナルクリーニング:歯科衛生士による専門的な歯の清掃で、自宅でのケアでは取りきれない歯垢や歯石を除去します。
  2. 歯周ポケットのチェック:歯と歯茎の間の溝(歯周ポケット)の深さを測定し、歯周病の進行度を確認します。
  3. レントゲン検査:定期的なレントゲン撮影により、目に見えない部分の虫歯や骨の状態を確認します。
  4. フッ素塗布:歯の表面を強化し、虫歯を予防します。

これらのメンテナンスは保険適用外となりますが、将来的な大きな治療費を考えると、長期的には経済的といえるでしょう。

歯科メンテナンスの推奨頻度

メンテナンスの頻度は個人のお口の状態によって異なりますが、一般的には2~3ヶ月に1回の来院が推奨されています。※2

歯周病リスクの高い方や過去に重度の歯周病治療を受けた方は、より頻繁な来院が必要な場合もあります。
定期的なメンテナンスを習慣化することで、健康な歯を長く保ち、快適な生活を送ることができます。ぜひ予防歯科の第一歩として、定期検診を始めてみませんか?

【参考】
※1:2026年「歯科疾患実態調査」厚生労働省
※2:

Axelsson P,Lindhe J:The significance of maintenance care in the treatment of periodontal disease. J Clin Periodontal, 8:281-294,1981.

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「国民皆歯科健診」で広がる予防の可能性 〜自分の歯を守るために知っておきたいこと〜

「経済財政運営と改革の基本方針2024(骨太の方針2024)」では、日本の歯科医療における重要な転換点となる「国民皆歯科健診」の実現に向けた取り組みが明記されました。これは全ての国民が生涯を通じて定期的な歯科健診を受けられる体制を構築することを目指すもので、予防歯科の重要性が国の政策レベルで認識されたことを意味します。 歯科健診では、むし歯や歯周病のチェック、口腔内の清掃状態の確認、顎関節の状態確認などが行われます。これらの検査により、初期段階での疾患の発見や、将来的なリスクの予測が可能となります。健診結果に基づいた適切な指導を受けることで、重症化を防ぎ、健康な口腔内環境を維持できるのです。 しかし、厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、過去1年間に歯科健診を受けた者の割合は全体で約5割にとどまっています。特に若年層での受診率は低く、口腔内健康への関心の薄さが浮き彫りになっています。※1 現行の歯科健診制度には大きな課題があります。職場や学校での健診、市町村による健診などが実施されていますが、20〜30代の若年成人は制度の間に置かれていることが多く、定期的な健診の機会が不足しています。この年代は仕事や育児で忙しく、自覚症状がなければ歯科医院を訪れないケースが多いのです。※2 さらに厚生労働省の「歯科口腔保健支援事業」の調査では、多くの方が「痛みがなければ歯科医院に行く必要はない」と考えていることが明らかになっています。しかし、口腔疾患は初期には自覚症状がほとんどなく、痛みを感じる頃には既に進行していることが一般的です。※3 「国民皆歯科健診」の実現は、こうした課題を解決し、生涯を通じた予防歯科の実践を可能にする重要な一歩です。自分の歯を長く健康に保つために、症状がなくても定期的な歯科健診を受ける習慣を今から始めてみませんか? 【参考】※1:平成28年度「国民健康・栄養調査」厚生労働省※2:歯科保健課  厚生労働省 .https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/001223393.pdf※3:2024年「歯科口腔保健支援事業(歯科口腔保健の実態等に関する調査)」厚生労働省 .https://www.mhlw.go.jp/content/001234063.pdf

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健康な歯を守る予防歯科とメンテナンスの重要性

目次 予防歯科の必要性 歯科メンテナンスの内容(保険適用外) 歯科メンテナンスの推奨頻度 皆さんは歯医者さんにどのタイミングで行かれますか?痛みが出たときだけ、という方も多いのではないでしょうか。実は、そのような「対症療法」だけでは、健康な歯を長く保つことは難しいのです。 予防歯科の必要性 35歳以上の日本人の約5〜7割が何らかの歯周病を有しています。※1 歯周病は初期には自覚症状がほとんどなく、気づいたときには進行していることが少なくありません。また、むし歯も初期段階では痛みを感じにくいため、痛みを感じたときには既に治療が必要な状態になっていることがほとんどです。 予防歯科の考え方は「病気になってから治す」のではなく、「病気にならないように予防する」というものです。定期的なメンテナンスにより、むし歯や歯周病のリスクを大幅に減らし、将来的な大きな治療や歯の喪失を防ぐことができます。 歯科メンテナンスの内容(保険適用外) 歯科メンテナンスでは主に以下のようなケアを行います: これらのメンテナンスは保険適用外となりますが、将来的な大きな治療費を考えると、長期的には経済的といえるでしょう。 歯科メンテナンスの推奨頻度 メンテナンスの頻度は個人のお口の状態によって異なりますが、一般的には2~3ヶ月に1回の来院が推奨されています。※2 歯周病リスクの高い方や過去に重度の歯周病治療を受けた方は、より頻繁な来院が必要な場合もあります。定期的なメンテナンスを習慣化することで、健康な歯を長く保ち、快適な生活を送ることができます。ぜひ予防歯科の第一歩として、定期検診を始めてみませんか? 【参考】※1:2026年「歯科疾患実態調査」厚生労働省※2: Axelsson P,Lindhe J:The significance of maintenance care in the treatment of periodontal disease. J Clin Periodontal, 8:281-294,1981.